メモ










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2010/06/03

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2010/06/02

 

 

生き残り

2010/05/14

パートナーは“元ユーザー企業”、それがITベンダーの生きる道



 主なITベンダーの2010年3月期決算が出そろった。当然と言えば当然だが、一部の大手などを除いて業績は一様に冴えない。まだ危なっかしいが景気が 回復してきたので、今期に期待といきたいところが、国内市場は横ばいか、良くて微増の予想が大半だ。「このままではIT産業は構造不況に陥る」と、ある大 手ITベンダーのトップがつぶやいていたが、まさに季節は変わり目だ。

 

 

 これまで何度か、“トンネルを抜けた後に見える景色”について予想を書いてきたが、その景色がいよいよ目前に広がろうとしている。既にはっきりしている のはSI、特に基幹系システムの構築という、今まで大多数のITベンダーにとって金城湯池だった市場がどんどん縮小するだろうってことだ。長期的には日本 経済が縮む中、ユーザー企業はこの領域に大金を投じなくなる。ITベンダーのトップから「構造不況」発言が出るのも、そんな問題意識からだ。

 

 

 実際に今期、ユーザー企業がIT投資の復活を決意しても、基幹系システムの再構築には慎重なはずだ。だから、ITベンダーの当初の皮算用ほどは今期、売 り上げは伸びない。そんな予感がITベンダーの今期予想を楽観視できないものにする。

 

 

 賢明なユーザー企業なら、付加価値の無い基幹系システムについてはITインフラ整備の観点から慎重に対処するだろう。数年をかけてプライベートクラウド 化を進めるか、場合によってはパブリッククラウドの活用に踏み切るか、いずれにしても投資額や費用は切り詰めていくはずだ。お金をかけるべきITは、バッ クヤードではなくビジネスの最前線にあるからだ。

 

 

 では、ITベンダーが採り得る生き残り戦略はどうか。とりあえず見えているのは、

 

(1)規模拡大による残存者利益狙い

(2)クラウド事業の収益 化

(3)新天地を求めてのグローバル展開

(4)“元ユーザー企業”との協業

 

----の四つがある。

 

 

 このうち(1)(2)(3)は、何度も書いてきた。規模拡大による残存者利益狙いは、国内のライバルをM&Aして規模を拡大し、大手ユーザー企 業からの受注を増やし、安定した収益の確保を狙うというものだ。ライバル企業をM&Aなどで消去すれば、同時にユーザー企業との力関係の改善も期 待できる。クラウド事業の収益化と新天地を求めてのグローバル展開は言わずもがなである。

 

 

 さて、残りの“元ユーザー企業”との協業だが、これには少し解説がいる。と言っても、理屈は簡単だ。ユーザー企業は今後ますます、ITをビジネスの最前 線で活用するようになる。そして、ITベンダーに利益とリスクのシェアを求めるようになる。こうなると、ユーザー企業はもはや顧客ではなく、ビジネスパー トナーだ。つまりITベンダーは、パートナーとなった“元ユーザー企業”と組み、共に新たなビジネスを開拓しようというわけだ。

 

 

 実は、この「“元ユーザー企業”との協業」戦略も目新しいものではない。1990年代後半から2000年代の初頭に、さんざん語られたことだ。eコマー スなどにチャレンジするユーザー企業は、ネットビジネスのパートナーになってくれるITベンダーを求めていた。だが、ITベンダーの中にはそうした役割を 志向した企業もあったものの、結局リスクを取り切れず断念。楽天などの“新たなIT企業”がその役割を担い、既存のITベンダーは用済みとなった。

 

 

 さて今、再びこうした協業戦略の季節となった。何の話かと言うと、スマートグリッド(次世代電力網)などITの活用が前提の社会インフラなどのビジネス のことだ。電力などエネルギー産業をはじめ、自動車・鉄道、医療などのインフラビジネスが、ITによって組み変わろうとしている。

 

 

 Itベンダーとしては、こうしたインフラ産業の企業と組んで新たなビジネスを創り上げたい。「お客様におっしゃっていただければ、何でも作ります」では なく、新たなビジネスを創るパートナーとなるのだ。そして、新たな社会インフラを国内だけでなく、海外にも輸出する。そんなことを考えたい。

 

 

 「果たして、その実現可能性は・・・」だが、幸い、既存のITベンダーの“先生”であるIBMが、Smarter Planet 構想なんかを打ち出してくれたものだから、日本の大手ITベンダーは一応その気になっている。とにかく、こうした新社会インフラだけでなく、ITを使った 新たなビジネスを“元ユーザー企業”と共に創造するということは、間違いなく重要な生き残り戦略になってくるはずだ。

 

 

 さて、この戦略をはじめ四つの戦略はすべて、リスクを取る覚悟が必要だ。えっ、企業なのだから当たり前だって。確かに当たり前だが、今まではリスクを取 らなくて済んだ多くのITベンダーには、そのハードルは高い。だが、季節の変わり目だ。変わろうとする覚悟が今ほど必要な時はない。

墓碑銘

2010/05/13

夢と理想の墓碑銘、“オープンレガシー”の憂愁


 

 どんなユーザー企業にもレガシーシステムというやつがある。随分前に構築・導入したシステムで、開発当時を知る技術者がほとんどいなくなった結果、運 用・保守が大変、だけどブラックボックス化したシステムの移行はもっと大変----そんな負の遺産である。従来はメインフレームやオフコンの専売特許だっ たが、気が付けばオープンシステムのレガシー化も進んでいる。

 

 

 オープンシステムと言っても、もはや20年以上の歴史があるから、メインフレームと同様にレガシー化するのは当たり前。ただ“オープンレガシー”はある 意味、メインフレームのそれよりも始末に負えない。メインフレームなら、製造したITベンダーが今でもそれなりの責任を持って対応してくれる。リプレース を狙う他のベンダーからもマイグレーション提案が寄せられたりする。一方、オープンレガシーは・・・。

 

 

 困ってしまうのは、市場競争やITベンダーの一方的都合により消え去ってしまった技術や製品に依存しているケースだ。オープン系はクライアント/サー バーの全盛期からWebコンピューティングの時代を通じて、多くのベンダーが市場支配を夢見て様々な技術・製品を投入し、そして消え去っていった。まさに あちらこちらに墓碑銘が建っている。中には事実上の標準と言われながら、事実上の標準になれなかったものもある。

 

 

 そんな技術や製品をインフラに、独自の業務システムを構築して幾年月、いつの間にか当時を知る人もいなくなり・・・これがオープンレガシー誕生の物語 だ。そして、それはユーザー企業の情報システム部門にとって栄光と挫折の物語でもある。

 

 

 オープンシステムの大きな可能性が見えた1990年代初頭から、多くのユーザー企業がメインフレームやオフコンからUNIXサーバーやパソコンに業務シ ステムを移すこと試みた。あるいは全く新しいアプリケーションの構築にチャレンジした。長年のベンダーロックインから自らを解放し、最新技術を自らセレク トし、自らの手でシステムを構築する。それは長年の夢や理想の実現である。ユーザー企業のIT部門が光り輝いていた時代だった。

 

 

 ところが、そんな栄光は長く続かなかった。やがて上陸した欧米のERPをカスタマイズしようという無謀な試みに時間とリソースを浪費している間に、IT 部門は最新インフラへの対応能力を失ってしまった。そうしてERPの構築がひと段落すると、多くのIT部門が人員削減を行った。技術・製品に対する目利き 能力は衰え、オープン系では不可欠のアーキテクトも育てられなかった。

 

 

 そんなわけだから、オープンレガシーが誕生したのは、依存した技術・製品が消滅したからだけではない。よく「ITベンダーに騙された」という人がいる が、それは大きな間違い。オープンシステムを選ぶということは、勝ち馬に乗らなければならないということだ。負け馬に乗ったとしたら、それは目利き能力の ない「あなた」が悪いのだ。まさに、オープンレガシーの存在はIT部門の理想や夢の墓碑銘でもある。

 

 

 さて最後にITベンダー側に話を変える。勝ち馬に乗れないのはあなたが悪いと書いたが、それはユーザー側の問題であり、売ってしまったベンダーの免罪符 にはならない。「これからは業界標準のこれを使ってシステムを構築しましょう」と口車に乗せたのだから、その始末はつけなければならない。そうでないと、 「これからはクラウドを活用しましょう」と提案しても、ユーザー企業は相手にしてくれないだろう。

 

国産クラウド

2010/05/12

国策のパブリッククラウドは必要か

 

 

 日本にも巨大クラウドサービスが必要だ。最近そんな議論をよく聞くようになった。民間企業だけでは無理なんで国策として・・・クラウドを民主党政権の IT戦略の目玉にしようという話も聞く。仮にグーグルやアマゾン対抗のサービスを国家プロジェクトでやろうというなら、噴飯モノだ。そもそも“グーグル的 な国産クラウドサービス”が必要か否か、よく考えてみる必要がある。

 

 

 ITベンダーのクラウド関連ビジネスを整理すると、プライベートクラウド構築サービス、プライベートクラウド運用サービス、そしてパブリッククラウド サービスに3分類できる。プライベートクラウド構築サービスと運用サービスは、従来のSIとアウトソーシングと変わらないから話は簡単。仮想化技術まわり のノウハウを習得すればなんとかなる。問題はパブリッククラウドサービスで、グーグルやアマゾンの存在感があまりにも大きいから、みんな「うーん」とな る。

 

 

 資本集約と知識集約の面でグーグルやアマゾンに圧倒的な差をつけられた今となっては、その後をまともに追いかけることができるのはマイクロソフトぐら い。日本企業がキャッチアップできる可能は、通信事業者には多少残っているが、ITベンダーの場合はほぼ絶望的。仕方がないから、「安心・安全」を前面に 出した“高級サービス”で差異化しようとするが、米国勢のパブリッククラウドサービスもどんどん“高級化”しており、時間の経過と共に国産のサービスが追 い込まれていく可能性は高い。

 

 

 まあ、そんなわけだから、国家プロジェクトでパブリッククラウドサービスの基盤を作ろうという話が出てくるは、ある意味当然。「将来の重要な社会インフ ラを米国勢に牛耳られては大変」という理屈があるからだ。しかし国策で、自由主義経済の権化のようなクラウドサービスに対抗しようというのは土台無理な 話。以前、「検索サービスという重要インフラを米国勢に牛耳られては大変」との危機感から出発した国策プロジェクトがあったが、今回もその二の舞となって しまうだろう。

 

 

 そもそも、グーグルやアマゾンのような巨大クラウドサービス、あるいはその事業者が国産である必要があるのだろうか。よく考えれば考えるほど「必要無 し」と思えてくる。まずBtoC分野では、そうした米国勢のインフラを苗床に「オンリー・イン・ジャパン」のコンテンツビジネスを生み出せばよい。そして企業向けでは「伸び縮み自由なシステム」を実現するツールとして、米国勢のインフラを活用すればよい。

 

 

 伸び縮み自由なシステムの話はこの前に書いたが、要はビジネスの変動に合わせて拡張も縮退も容易なシステムのことだ。これからの企業情報システムは、仮 想化からプライベートクラウドへと進み、効率性と柔軟性を徹底的に追求したものなるはずだ。大企業ならコアシステムは自社で運用し、それ以外のシステムは ITベンダーのプライベートクラウド運用サービスにアウトソーシングする。そして、経済環境やビジネスの状況に合わせて変動するITリソースの差分は、パ ブリッククラウドサービスでテンポラリーに調達するようになるだろう。

 

 

 だから、企業向けにパブリッククラウドサービスを提供するITベンダーは、単に低コストのサービスを提供するだけでは済まず、需要の変動というリスクを 背負い込む必要が出てくる。しかし、そんなリスクを背負い込めるのは、統計多重効果を引き出せるグーグルやアマゾンのような巨大事業者だけだ。日本のIT ベンダーとしては「グーグル対抗」といった夢を見ず、既存の顧客をプライベートクラウド構築サービスや運用サービスでガッチリと囲い込み、ITリソースの 需要変動に合わせて米国勢のサービスを二次活用すればよい。

 

 

 かなり単純化したが、かくして巨大なパブリッククラウドサービスが何も国産である必要は無いということになる。今後、米国勢のサービスが日本企業の多く のITニーズを巻き取っていく可能性があるが、情報システムのすべてがパブリッククラウドに置き換わることはあり得ないので、致命的なことにはなるまい。 従って、“米国勢に対抗する国策クラウド”も不要だ。もちろん企業のクラウド活用を加速する政策的インセンティブなら「あり」だと思うが。